赤穂ブログ
今日は1月2日。
2012年の2日目。
本日もたくさんのお客様にご来館頂いています。
お正月期間は、祥吉のお料理も新春の特別献立。
調理場の思いの詰まったお料理をお楽しみ頂きます。
そして、ここで皆様にお話をしたいのは、祥吉のお料理の事。
私達が考える良い旅館料理とは何か?と言う事。
私は、「お正月献立に於いて1番召し上がって頂きたい一品は何ですか?」
と聞かれれば迷わずに「煮物椀」と答えます。
料理場が最も神経の使う献立です。
祥吉を始めた頃の私は、華やかな料理や艶っぽい料理を求めていました。
メインになるものが無い旧態依然とした料理こそ悪い意味での旅館料理だと思っていました。
しかし、今の料理長が就任した時に、私に言った一言が私の考え方を大きく変えます。
「お客様がまず美味しく食べれる物を出す事が大事ですよ。そして、ここの器には塗りの器が少ないですなあ・・・」
器好きの私に違う意味で火を付けた一言でした。
「暗に煮物椀なる物をまともに出していないな」と言われたのでした。
「もう一度祥吉が求める旅館料理を考え直そう」
その時の感覚を今でも忘れず持っています。
そして、私が尊敬し憧れる旅館の方が、言われた一言からも
「和食には五味(辛い、甘い、酸っぱい、苦い、塩っ辛い)があるが、和食で心得ておくべき味はこれに淡味を加える事」と教えてくれました。
淡味とはまさしく淡い味。
濃淡の無い味、そして洗練された味。これを目指す事こそ真の和食の味と教えてもらいました。
ただ煮物椀を出すには手間が掛かります。
祥吉の収容数を考えるとすべてのお客様にそれを出すのは難しい。
でも、お正月だけはすべてのお客様に祥吉が考えるお料理のエッセンスを感じて欲しいとの思いから煮物椀を手を抜く事無くお出し致します。
椀をほんのり温め、盛り込む品にそれぞれ味を整え、香りと共に盛り込みます。
頃合いを見計らって一組づつ温められた出汁を張り、味と香りと湯気を閉じ込める様に蓋をし、急いで皆様の食卓へお届け致します。
蓋を開けた時に感じる香りと、吸い口に薫る柚子の風味、そして出汁の旨味。
この時に感じる味こそ和食の神髄です。
私達が求める祥吉の旅館料理を明日もお届け致します。
楽しんで、味わって頂ける事を願います。